腸内フローラ検査は意味がない？検査の原理からメリットを解説！

プリセット１

腸内フローラの検査って本当に必要？

検査をしても意味がないって聞いたけど…？

この記事では、こういったお悩みを解決します。

本記事の内容

• 腸内フローラ検査の基本原理
• 検査結果の活用方法と限界
• 検査を受けるべき人とそうでない人

結論から言うと、腸内フローラ検査の限界を理解したうえで、継続的な検査と生活習慣の改善に取り組めば、体の調子の向上維持が期待できます。

腸内フローラ検査が注目される一方で、「意味がない」「役に立たない」といった意見もありますよね。でも、検査の原理や活用方法を理解すれば、どのような人に役立つのかが分かります。本記事では、腸内フローラ検査の仕組みやメリットを分かりやすく解説します。

腸内フローラ検査の基本原理とは？

そもそも腸内フローラとは何か？

私たちの腸の中には、100兆個以上の細菌がすみついており、これらをまとめて腸内フローラと呼びます。腸内フローラは、大きく分けて善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類に分類されます。善玉菌は消化を助けたり、免疫力を高めたりする働きがあります。悪玉菌は増えすぎると腸内環境を乱し、体調不良の原因になることも。日和見菌は普段おとなしいですが、腸内のバランスが崩れると悪玉菌のように働くことがあります。バランスを整えることが健康維持に重要です。

ー腸内フローラの模式図ー

善玉菌・悪玉菌・日和見菌の違い

腸内フローラを構成する細菌は、大きく善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つに分けられます。善玉菌は、乳酸菌やビフィズス菌などが代表的で、腸の動きを助けたり、病原菌の増殖を防いだりする働きがあります。悪玉菌は、ウェルシュ菌などがあり、増えすぎると腸内で有害物質を作り出し、体調不良の原因になることも。日和見菌は、腸内のバランスによって善玉菌にも悪玉菌にもなり得るため、腸内環境を整えることが重要です。

ー善玉菌・悪玉菌・日和見菌の分類図ー

腸内フローラ検査の仕組み

• 検査方法（DNA解析、培養法など）

腸内フローラ検査には、さまざまな分析方法があります。16S rRNA解析は、細菌の遺伝子の一部を調べて「どの菌がどれくらいいるか」を特定する方法です。メタゲノム解析は、すべての細菌のDNAを解析し、腸内フローラ全体の詳細な構成を把握できます。メタトランスクリプトーム解析では、腸内細菌が実際にどのような遺伝子を働かせているかを調べます。さらに、メタボローム解析は、腸内細菌が作り出す代謝物を分析し、腸内環境の影響を評価する方法です。

1. 16S rRNA解析（16SリボソームRNAシーケンシング）

特徴:

• 最も一般的な腸内フローラ検査方法
• 16S rRNA遺伝子の特定領域を解析し、腸内細菌の種類や割合を特定
• 科学研究から一般向けの検査サービスまで幅広く利用

メリット:
✔︎ コストが比較的低く、検査サービスとして普及
✔︎ 主要な腸内細菌の大まかな組成を把握できる

デメリット:
✖︎ 種レベルまでの正確な分類は難しい
✖︎ 機能や代謝特性まではわからない

2. メタゲノム解析（ショットガンシーケンシング）

特徴:

• 16S rRNA解析よりも詳細な腸内フローラの情報が得られる
• 腸内細菌のゲノム全体を網羅的に解析し、菌種や機能遺伝子を特定

メリット:
✔︎ より高精度で腸内細菌を分類可能
✔︎ 各菌の遺伝子機能（例：代謝経路、ビタミン合成能力など）も解析できる

デメリット:
✖︎ コストが高め
✖︎ 膨大なデータ解析が必要

3. 培養法（伝統的な細菌培養）

特徴:

• 便から特定の培地で腸内細菌を培養し、種類を同定
• かつては主流だったが、培養できる細菌は一部のみ（腸内細菌の多くは培養困難）

メリット:
✔︎ 生きた細菌を分離・培養できるため、機能研究が可能
✔︎ 一部の細菌についてはコロニーを作りやすく、増殖の特徴を観察できる

デメリット:
✖︎ 培養可能な菌は限られる（腸内細菌の多くは嫌気性で培養困難）
✖︎ 菌の全体像を把握するには不向き

4. メタトランスクリプトーム解析（RNA解析）

特徴:

• 腸内細菌の遺伝子発現を解析し、どの遺伝子が活性化しているかを調べる
• 「どの細菌がいるか」ではなく、「どの遺伝子が働いているか」を重点的に分析

メリット:
✔︎ 腸内細菌がどのような代謝活動をしているかが分かる
✔︎ 環境の影響を受けた腸内フローラの変化をリアルタイムで評価可能

デメリット:
✖︎ 高度な解析技術が必要
✖︎ コストが非常に高い

5. メタボローム解析（代謝物分析）

特徴:

• 便や血液中の**代謝産物（短鎖脂肪酸、アミノ酸など）**を分析し、腸内細菌の影響を間接的に調べる
• GC-MS（ガスクロマトグラフィー-質量分析）やLC-MS（液体クロマトグラフィー-質量分析）を利用

メリット:
✔︎ 腸内細菌が生産する物質の影響を直接評価できる
✔︎ 腸内環境の「機能面」にフォーカスできる

デメリット:
✖︎ どの細菌がどの代謝物を生産しているのか特定するのが難しい
✖︎ 腸内細菌だけでなく、食事や生活習慣の影響も受ける

まとめ

図解

• どのようなデータが得られるのか

腸内フローラ検査のうち、最も一般的な16S rRNA解析では、腸内に存在する細菌の種類や割合を調べることができます。この方法は、細菌が持つ16S rRNA遺伝子の配列を解析し、それぞれの菌の分類を特定する技術です。検査結果では、腸内にどのような細菌がどれくらいいるのかを示すデータが得られます。これらの菌の種類やその豊富さは、食生活や生活習慣の影響を受けるため、腸内フローラ検査の結果は生活習慣の改善の一つの指標となります。

ただし、細菌の「機能」や「代謝の働き」までは分かりません。そのため、腸内環境の大まかな傾向を知るのに適しており、より詳細な情報を知りたい場合は他の解析と組み合わせることが推奨されます。

ー16S rRNA解析の結果イメージ（細菌の分類グラフ）ー

H3：検査で分かること・分からないこと

• 腸内フローラの多様性や菌の種類

腸内フローラの多様性とは、腸内にどれだけ多くの種類の細菌が存在し、それぞれがバランスよく分布しているかを示す指標です。多様性が高いほど、腸内環境が安定しやすく、健康にも良い影響を与えると考えられています。腸内には数百〜数千種類の細菌が存在し、大きくバクテロイデス門、ファーミキューテス門、アクチノバクテリア門などに分類されます。特定の菌が極端に増減すると、腸内環境の乱れにつながるため、バランスを保つことが重要です。

ー腸内細菌の分類と多様性のグラフー

• 体調や病気の直接的な診断にはならない

腸内フローラ検査では、腸内細菌の種類やバランスを調べることができますが、特定の病気を診断するものではありません。例えば、腸内に悪玉菌が多いと腸内環境の乱れが示唆されますが、それだけで病気の有無を判断することはできません。また、腸内細菌は食事や生活習慣によって変化するため、1回の検査だけでは長期的な健康状態を把握するのは難しいです。腸内フローラ検査は、あくまで腸内環境の目安として活用することが重要です。

ー腸内フローラ検査の結果イメージ（菌のバランス図）ー

H2：腸内フローラ検査のメリットと限界

H3：腸内フローラ検査のメリット

• 腸内環境の現状を知ることで、生活習慣の改善に役立つ

腸内フローラ検査を受けると、自分の腸内環境の現状を知ることができます。例えば、善玉菌が少なく悪玉菌が多い場合は、食事の改善が必要かもしれません。また、腸内の多様性が低いと、食物繊維や発酵食品を増やすことで腸内環境を整えるヒントになります。このように、検査結果をもとに生活習慣を見直すことで、腸内環境を改善し、健康維持につなげることができます。ただし、定期的にチェックすることが重要です。

ー腸内フローラ検査結果の活用例（食生活の見直し）ー

• 便秘や下痢、肥満などの要因を探るヒントになる

腸内フローラ検査を活用すると、便秘や下痢、肥満の原因を探るヒントが得られます。例えば、腸内の善玉菌が少ないと便秘になりやすい傾向があり、発酵食品や食物繊維の摂取が有効かもしれません。また、特定の菌が多すぎると腸の動きが過敏になり、下痢を引き起こすこともあります。さらに、腸内細菌のバランスが乱れると代謝に影響を与え、肥満につながる可能性も指摘されています。腸内環境を知ることで、適切な対策が立てられます。

ー腸内フローラと体調の関係（便秘・下痢・肥満）ー

H3：腸内フローラ検査の限界

• 1回の検査だけでは腸内環境の全体像は分からない

腸内フローラは、食事や睡眠などの生活習慣やストレスなどの影響を受けやすく、日々変化しています。そのため、1回の検査結果だけでは腸内環境の全体像を把握するのは難しいとされています。例えば、直前の食事内容によって特定の菌が一時的に増減することもあります。また、抗生物質の服用は一部の腸内細菌を減少させることがあり、一時的に腸内環境が大きく変化することもあります。腸内環境の変化を正しく理解するには、定期的に検査を行い、長期的な傾向を確認することが重要です。継続的にデータを蓄積することで、自分に合った腸活の方法を見つけやすくなります。

ー腸内フローラの変動イメージ（時系列グラフ）ー

食生活や体調によって腸内フローラは変動する

H3：どのような人が検査を受けるべきか？

• 生活習慣を改善したい人におすすめ

腸内フローラ検査は、生活習慣を改善したい人におすすめです。自分の腸内環境を知ることで、どのような食事や習慣が必要かのヒントが得られます。例えば、善玉菌が少ない場合は発酵食品を増やす、腸内の多様性が低い場合はさまざまな食材を取り入れるなど、具体的な対策が立てやすくなります。また、定期的に検査を受けることで、改善の効果をチェックすることも可能です。健康維持のために、腸内環境を意識した生活を取り入れてみましょう。

ー腸内フローラ検査と生活改善の関係イメージー

• 健康な人が受けてもすぐに役立つとは限らない

腸内フローラ検査は健康な人が受けても、すぐに役立つとは限りません。 なぜなら、腸内環境がすでに良好な場合、大きな改善点が見つからないこともあるためです。また、腸内フローラのバランスには個人差があり、数値が「理想的」だからといって、必ずしも健康が保証されるわけではありません。 しかし、定期的に検査を受けることで、変化の兆しを把握し、早めの対策につなげることが可能です。健康維持の一環として、長期的な視点で活用すると良いでしょう。

ー腸内フローラ検査結果の活用イメージー

H2：腸内フローラ検査を活かす方法

H3：検査結果をどう活用するか？

• 検査結果を基にした食生活の改善方法

腸内フローラ検査の結果を基に、効果的な食生活の改善ができます。 例えば、善玉菌が少ない場合は、ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品を積極的に摂取すると良いでしょう。腸内細菌の多様性が低い場合は、さまざまな種類の野菜や果物、食物繊維を含む食品を意識的に取り入れることが大切です。また、悪玉菌が多い場合は、高脂肪・高糖質の食事を控えめにするのも有効です。自分の腸内環境に合った食習慣を取り入れ、無理なく改善を進めましょう。

ー腸内フローラ検査結果と食事改善の例ー

• 乳酸菌や発酵食品の取り入れ方

乳酸菌や発酵食品を毎日の食事に1品追加してみましょう。 ヨーグルトやチーズ、納豆、キムチ、味噌などの発酵食品には善玉菌を増やす働きがあり、毎日の食事に少しずつ加えるのが効果的です。腸内環境は個人差があるため、自分に合った食品を見つけることが大切です。また、食物繊維が豊富な野菜や海藻と組み合わせると、乳酸菌がより定着しやすくなります。

ポイントは無理なく続けることです。何か一つでも発酵食品を増やせば良いのです。食べられない日があっても責めないことです。また明日に一つ食べれば良いのです。どうしても忙しい場合は下記のようなサプリメントを活用することもアリですね。

ー発酵食品と乳酸菌の摂取イメージー

H3：継続的なチェックの重要性

• 1回の検査ではなく、定期的な検査が有効

腸内フローラは日々変化するため、1回の検査だけでなく、定期的な検査が有効です。 食生活やストレス、運動習慣の変化によって腸内環境は数週間～数ヶ月で変動することがあります。定期的に検査を行うことで、自分の腸内環境の変化を把握し、効果的な対策を立てやすくなります。 また、食習慣の改善が本当に効果を発揮しているかを確認するためにも、継続的なモニタリングが重要です。長期的な健康管理の一環として、定期的な検査を取り入れましょう。

ー腸内フローラの変化と定期検査のイメージー

下記のようにサブスク型の検査を提供している会社もあり、本気で取り組む場合はお得に＼検査を受けることも可能です。

• 検査結果を比較して体質改善の進捗を確認

どんな検査もそうですが、結果はさまざまな要因で変動します。1回の検査の結果を参考に生活習慣を改善しても、すぐに‘変化を実感できない場合もあります。なので、継続的に検査を受けてみて、検査結果に変化があるかを確認することが大切です。こうしてより良い生活習慣を心がけることが、腸内フローラ検査の最も大きなメリットと言えるかも知れません。

H3：科学的根拠のある腸活とは？

• 腸内フローラ研究の最新知見
• 信頼できる腸活の方法とは

記事の信頼性

• 最新の腸内フローラ研究論文を参照
• 実際の腸内フローラ検査の分析結果を紹介
• 分析科学の知見をもとに、科学的な根拠を提示

まとめ

• 検査結果は腸の状態を全て表しているわけではない
• 腸内は日々変動しているおり、1回の検査結果だけで健康状態を判断するのは難しい
• 検査結果を活用し、食生活や生活習慣を改善することが大切

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Sciris編集部

サイエンスライター

化学や製薬のメーカーで製品の製造や分析の研究を実施した経験をもつ。